大地震のテールリスク(菊池誠一)

南海トラフ巨大地震・首都圏大地震のような大地震が突然 起きた場合「どれだけの幅で株価が下がるのか}だが、日経平均株価でみて短期的には1万円を割ってしまうのは当然であり、場合によっては7000円割れ、最悪のシナリオを描くと5000円割れを覚悟すべきかもしれない。 次には「どれぐらいの間、株価低迷が続くのか」だが、場合によっては10年以上、あるいは20年間以上もかかって、やっと回復へといった状況も想定できる。内外の株式市場の歴史を振り返ると、株価低迷を生んだ原因はいろいろだが、20年間ぐらい低迷が続いたことは珍しくない。 為替相場については、常識的に考えれば、円相場が大きく下がるとみていい。海外から日本の株式、債券などに投入されている資金が、一斉に逃げ出そうとするからだ。しかし円相場が、たとえば対ドルでどこまで下がるのかとなると、事前にはなかなか読めない。一時的に1ドル=200円を超える水準にまで下がっても不思議ではない。 ただ、円相場について投資家が留意すべきことは、3・11が起きたとき、週が明けてからニューヨーク市場で円が急上昇し、歴史的な「円高現象」が出現したこと。その後も1年半にわたり円高が続き、日本株は低迷した。どうして円高になったのか。この点はいまだにわからない面が多い。研究者だけでなく、市場関係者の多くも疑問に思っているようだ。